A 大切なのは老化と関連して起きる認知症(老化性認知症)であり、多い順に並べると、最も多いのがアルツハイマー型認知症で、老化性認知症の50-60%程度を占め、多くの人が認知症としてイメージしているのは、このアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー病、あるいは単にアルツハイマーと呼ばれることもあり、物忘れから始まるのが特徴です。
次に多いのがレビー小体型認知症であり、老化性認知症の15-20%程度を占めています。専門医でもきちんと診断できないことも多く、しばしばアルツハイマー型認知症と間違えられています。物忘れより、居ないはずの人や小動物がみえる幻視が特徴で、睡眠中に大きな寝言をいうレム睡眠行動障害で始まることもあります。
さらに、血管性認知症は老化性認知症の10-15%程度であり、脳梗塞などの血管障害が原因となりますが、脳梗塞だけで認知症を生ずることは少なく、アルツハイマー型認知症に脳梗塞を合併したものは、血管性認知症とは呼ばなくなっています。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症を合わせて、3大認知症と呼ぶこともあります。
老化性認知症にはこの他、前頭側頭葉変性症があり、性格変化が特徴であるピック病(前頭側頭型認知症)や、言語障害が特徴の意味性認知症などを含んでいますが、専門医でないと診断は難しいと思います。この他、稀なものとして進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症などがあります。これらの疾患は、各々経過や予後、治療が異なりますので、早期に的確な鑑別診断をすることが大切です。
一方、老化と関連しない認知症もあり、頭部外傷後遺症、一酸化炭素中毒、肝脳変性症など原因によって様々ですが、これらはまず元疾患の対処が中心となります。ただし、この中には正常圧水頭症のように、外科的手術によって改善し得るものもありますので、鑑別診断が必要なことは云うまでもありません。